災害時のために備えておきたいこと

東日本大震災から10年を迎え、今年は改めて防災について考える機会も多いのではないでしょうか。防災の意識はあっても、何をしていいのかわからないという声も多く聞こえてきます。ライフラインに支障が生じた北海道胆振東部地震後には「暗い部屋で子どもがご飯を食べなかった」「保存食は食べ慣れていないため、子どもが受け付けてくれなかった」という声もありました。そこで、札幌で防災ライフプランナーとして活躍している水口綾香さんに子どもがいる家庭で取り組みたい防災対策を伺いました。

家族一人ひとりに合わせた防災備蓄をしよう

東日本大震災のときは千葉県に住んでいましたが、近くで大きな液状化の被害がありました。幸い我が家は無事でしたので、私と1歳の息子は自宅で過ごすこととなりましたが、夫は仙台に出張していて家に帰れなくなりました。仕事柄、防災の知識もあったので、食品の備蓄もしていたのですが、息子はアレルギーがあったため保存食はほとんど食べられませんでした。唯一のアレルギー対応のベビーフードも食べ慣れていないために食べてくれませんでしたし、離乳食を作るための野菜や魚、肉、豆腐などの生鮮食品は流通がストップしていた上に、アレルギー対応食品は全く手に入りませんでした。買い出しも、小さな子どもと被災すると大変だと身をもって知りました。この経験から、防災リストどおりの備蓄ではなく、家族一人ひとりに合わせた備蓄が必要だと感じたんです。大切なことは、自分と家族の健康を保つため必要なものは何か。それを考えることから防災はスタートします。

パパと子どものイラスト

自分たちの食生活に合わせた食品のローリングストックを

東日本大震災時の経験から、我が家では食べる習慣のないカップ麺やインスタント食品ではなく、普段からよく食べているもので備蓄することにしました。乳幼児がいると、備蓄品の賞味期限をゆっくりチェックする時間をとることは難しいので、普段からよく使う食材で賞味期限が2年以上あるものが多い水煮のツナ缶やトマト缶、早ゆでのパスタ等を多めにストックするように心掛け「賞味期限を意識しないがんばらないローリングストック」を行うようにしました。乳幼児は数か月経つと調理方法が変わるので、家族の食生活に合わせて、家族と何が必要かを相談しながら備蓄しています。現在は家族4人×10日分の食材を備蓄しています。

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災害時こそ心の栄養を

災害時に保存食を食べてくれなかった息子をみて、ただでさえ食べられるものが手に入らないのに、好き嫌いなんて!と息子の食べたくない気持ちを受け入れたくない自分に気が付きました。私も息子も「もうこれ以上のストレスは受け入れられないよ」と限界でした。私たちに必要だったのは体の栄養ではなく、心の栄養だったんです。こんな大きな災害なのだから、笑い声を立てることなく静かに自粛していなければいけないという思い込みで、私は息子にもずっと静かに過ごすように言い聞かせていました。思い込みを捨てて、災害時でもできるいつもの遊びはなんだろうと考えて、いつも聞いている歌を歌いながら息子と二人で踊りたくさんはしゃいでいっぱい笑いました。その結果、救われたのは息子ではなく張りつめていた私でした。大人も子どもも、いつもの遊びは災害時の心の栄養になります。ぜひ、ライフラインが止まっていても一緒に楽しめる遊びを、普段から取り入れてみてください。我が家では、私の体にジャングルジムのように登ったり、年齢にあったボードゲームで家族そろって遊ぶことを今も続けています。歌う事や踊ること、くるくる回ること、お父さんトンネルをくぐったり、お父さん山に登る事もおススメです。


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お散歩ついでに避難所までの道のり確認

災害時は場合によってはすぐに避難しなければなりません。最寄りの小中学校等の指定避難所や、その指定避難所に避難できない場合に次の候補となる避難所までの道順を確認しておきましょう。子どもを連れて避難するには安全な道のりか、橋や川の側では水量はどうか?途中に公衆電話はあるか?など、子どもと散歩しながらチェックしておきましょう。

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お話を伺った方

水口 綾香さん

フフジカン代表
防災ライフプランナー
災害が起こる前の備えを中心に「誰もが笑って寿命を全うすること」を理念に暮らしと心に寄り添った備え方を伝えている。モットーは「楽しい気持ちで備える」。防災ライフプランナーとしてすぐ実践できる防災を活かしたちょっといい暮らし方を提案している。

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更新日:2021年03月31日