パパに教えたい子どもの心と体の知識(発達に合わせた接し方・遊び方)

小さな子どもとの接し方が分からないパパへ

赤ちゃんが泣いてしまうとどうしていいかわからなくてオロオロしてしまう。我が子との触れ合い方が分からない…。

大丈夫、子どもに対する正しい知識をつければ怖いことなんてありません。
札幌国際大学短期大学部幼児教育保育学科の教授と札幌国際大学附属幼稚園の園長を務める深浦 尚子先生に0 ~ 2 歳の子どもとの関わり方を伺いました。

大切なのは自分の子どものことをしっかりみてあげること

0 ~ 2 歳の時期の子に最も大切なことは、愛着関係を築くこと。子どものことをよく見て、何かを欲しているタイミングで与えて、遊んで欲しいタイミングで遊んで、と欲求や要求に応えてあげましょう。そうすることで、子どもは「受け入れられている」と感じ、親との愛着関係が芽生えます。この愛着関係は、幼稚園、小学校へと進んだときの対人関係の基盤になるので、「あとで」とか「忙しいからダメ」といった対応をしてしまうと、子どもは自分は受け入れられていないと感じ、対人関係を築きづらくなってしまうことがあります。

この関係がしっかりと構築できた子どもは、将来的な学業成績や社会への適応度の向上を見込めると研究による結果※もあります。そういった意味でも、子育てにおける父親の立場は大きなものです。

ただ、平日は夜しか会えない、あるいは休みの日しか時間がとれないというパパも多いと思います。でも、心配はいりません。時間がとれたときに、しっかりと信頼関係を築けばいいのです。

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※2015 篠原郁子 Sensitivity の派生概念と子どもの社会的発達――アタッチメント研究からの展望―― 心理学評論 第58 巻第4 号 PP506-529

0歳の子どもの発達

泣くことで感情を表現しています

0 歳の赤ちゃんはまだ言葉を発することができず、表情や泣き声で感情を表現します。赤ちゃんが泣いてしまう理由、それは『不快感』です。お腹が空いている、眠い、おむつが気持ち悪い、服がチクチクする、姿勢が苦しい、これらの不快感を泣くことでアピールします。また、6 か月を過ぎる頃から人見知りをするようにもなります。

日頃から抱っこして顔を合わせていれば問題ないのですが、パパの仕事が忙しくて、赤ちゃんが起きている時間に会えていないと、抱っこしたときに「この人誰だろう」と泣き出してしまいます。そんなときは赤ちゃんが信頼している人、つまりはママと円満な関係であるところを見せましょう。信頼している人が安心しているのを見ると、「この人は大丈夫なんだ」と赤ちゃんも安心してくれます。

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言葉と表情をマッチさせた声かけを

まだ言葉がよく分からない赤ちゃんに対しての声かけは、言葉と表情をマッチさせることを意識しましょう。赤ちゃんが嬉しそうなときは朗らかな声で、泣いている時は優しい声で、感情豊かに話しかけてあげるとよく伝わります。

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赤ちゃんは寝るのが仕事!

赤ちゃんは1 日の大半を眠って過ごします。3 時間寝て、起きてミルクを飲んでおむつを替えて、30 分くらい経ったらまた寝てという風に。夜にまとまった時間眠るようになるのは1 歳を過ぎてからです。また、個人差もあるので、「寝すぎかも」「起き過ぎかも」と心配する必要はありません。

0~6 か月の赤ちゃんにおすすめの遊びは「ガラガラ遊び」

この時期の赤ちゃんには表情豊かに話しかけてあげてましょう。赤ちゃんが「アー」と声を出したら、その声に応えてあげるのも大切です。
生後6か月くらいまでは、ガラガラなどの優しい音が出るおもちゃがおすすめ。音が鳴る方を向いたり手足をバタバタさせて喜んだりします。その後お座りができるようになると、自分でガラガラを握って音を鳴らしたがることがあります。その時はぜひパパがお手本を見せてあげたり、一緒に手を添えて振ってあげたりしてください。そうすると赤ちゃんは上手に真似してくれます。

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6~ 12 か月の赤ちゃんにおすすめの遊びは「いないいないばぁ」

遊びは「いないいないばぁ」がおすすめです。6 か月くらいで「対象の永続性」を獲得します。対象の永続性というのは「物を布などで隠しても、物は存在している」という考え。つまり、6か月以内の赤ちゃんだと「対象の永続性」を獲得していないので、見えなくなったら興味を示さなくなりますが、対象の永続性を獲得した後でいないいないばぁをすると、赤ちゃんは、「いるんでしょ?いるんでしょ?やっぱりいた~!」と楽しむことができます。

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座位の姿勢ができたり、ハイハイができるようになったら「ボールのやりとり」遊び

座位の姿勢やハイハイができるようになったら、ボールなどの物をやりとりする遊びがぴったり。他者を知るのに適しています。ボールを転がしてあげて、それを返してもらってという動きの繰り返しで、自分とは別の他者の存在に気付きます。

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1歳の子どもの発達

好奇心旺盛でいろいろなものを獲得する時期 

1 歳を過ぎると多くの子どもは歩くようになります。自我が芽生え好奇心旺盛で、目を離すとどこかに行ってしまうので、目を離せなくなるでしょう。また、それまで喃語(なんご)と呼ばれる意味を持たない言葉を発していたところから、徐々に「マンマ」や「ワンワン」などの意味がある単語を発するようになる時期です。最初は1 単語のみの発声ですが、後に他の単語を覚えておくにつれて言葉のつながりを覚え、2 単語、3単語と繋げて話せるようになります。

パパは子どもの言語の獲得をサポートするために、指をさして物の名前を教えてあげるなど、声のかけ方にも工夫をしてあげたいですね。言葉の発達は個人差が大きいので、言葉が遅い子もいます。遅いからと言って深刻になる必要はありません。一度話し出すと溢れ出したように話すようになりますので安心してください。

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規則正しい生活リズムを大切に

1 歳ごろからまとまった時間、睡眠を取れるようになります。夜の睡眠と午後のお昼寝以外は活動の時間です。それからは毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きる生活リズムを整えてあげましょう。
生活リズムが整うと、ホルモンが分泌されて集中力がある健康な体の子どもに育つといわれています。

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1 歳を過ぎたらパパは子どもの挑戦や発見を一緒に楽しもう

1 歳を過ぎると歩きはじめますので、行動範囲が広がり、多くのものに興味を示して積極的にいろいろなことに挑戦するようになります。例えば、小さな型に同じ形のものを当てはめたり、ペットボトルの口から物を詰めたり。これは手先の感覚の発達において大切な遊びなのです。パパも一緒になって遊んであげることで子どももさらに楽しくなるでしょう。
また、歩くのが楽しい年頃なので、お外を散歩して、一緒に草や花をみつけたり、虫を探したり、いろいろな発見や挑戦をサポートしましょう。

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2歳の子どもの発達

自分で決めて自分でやってみたいイヤイヤ期

イヤイヤ期、誰もが耳にしたことがありますね。そもそもなぜイヤイヤ期があるのでしょう。簡単に言うと2 歳を過ぎると子どもが「自分で色んなことができる」と思うようになるからです。体の発達に伴い言葉も獲得して、自分の主張ができるようになります。できると思うから自分で決めて自分でやってみたい!そんな思いとは裏腹に、親がしつけとしてダメ!と言わざるを得ないこともでてきます。当然子どもは面白くないので反発します。これがイヤイヤ期です。できるだけ子どもの意思を尊重してあげるのがいいでしょう。すべては許可できなくても、選択肢を与えて、ある程度子どもの意思で、それも難しい場合はダメな理由をしっかり説明してあげてください。そうすることで、子どもも自分で考えられるようになります。

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パパだからこそアクティブに遊ぶ

2 歳になると体力もついてきて、ボール蹴りなどの体を使った遊びもできるようになります。パパだからこそ、アクティブに動き回る子どもと一緒に同じ目線で動いてあげてください。また、2 歳も半年を過ぎると口に物を入れることが少なくなってきます。そのくらいから、砂場遊びも自由にやらせてあげるといいでしょう。砂や木は、自分の工夫次第でいろいろな遊びができます。乾いたサラサラな砂を触ったり、濡れた砂で形をつくったり、木登りに虫採りもパパだからこそ一緒に楽しめる冒険です。パパは子どもの安全に配慮しつつ、遊びを見守ってあげましょう。

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パパの子育て参加で「愛着関係」が深まります!

パパが子育てに参加することのメリットは、ママの負担が減る以外に、子どもの成長についてもいい影響を与えます。最初に触れた愛着関係が、パパが参加することで深まり、子どもの情緒や社会性の発達にいい影響を与えます。乳幼児期に受けた刺激や影響というのは、その後何十年にもわたって、その子の中に残ります。子どもにとって重要な時間だからこそママと一緒に子育てをして、いい影響を与えてほしいですね。

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プロフィール写真

お話を伺った方

深浦 尚子先生
札幌国際大学 短期大学部
幼児教育保育学科

札幌市生まれ。北海道大学大学院教育学研究科博士課程修了。札幌国際大学短期大学部幼児教育保育学科の教授と札幌国際大学附属幼稚園の園長を務める。専門は発達心理学で、子どもの社会性の発達、情動の発達を研究している。

この記事に関するお問い合わせ先

札幌市子ども未来局子育て支援部子育て支援推進担当課子育て支援企画係
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更新日:2021年03月03日