パパに教えたい子どもの心と体の知識(初めての赤ちゃんとの接し方)

小さな子どもとの接し方が分からないパパへ

初めて赤ちゃんに接するパパに知って欲しいことを、子育て応援隊として活動されているNPO札幌feeling子育ての会代表であり、産後ケア・産前産後サポートのための助産院「feel 助産院」を開院している矢野根 絵里子 助産師に伺いました。

Q 抱っこの仕方を教えてください

A.抱っこにはいくつか目的があります。

  1. 授乳のため
  2. あやしたり、リラックスして寝かせてあげたりするため
  3. 遊びやコミュニケーションのため
  4. 移動のため

などです。
赤ちゃんの首がすわるまでは横抱きを基本に、ふんわりまるく包むように抱いてあげてください。

基本の抱き方:横抱き

パパと子どものイラスト

赤ちゃんの両手両足は前に来て左右対称になるとよい

Q たて抱きすると泣きやむのですが

A.最近は、生後1 ~ 2 か月でもたてに抱かないと泣きやまないというご相談が増えています。

首がすわる前に、たて抱きをするときは注意が必要です。

首がすわる前の段階では、赤ちゃんは、腹ばいで自分の頭を持ち上げて、右を見て左を見て頭の動きのコントロールができるようになります。腹ばいで遊んでいるうちに、首だけでなく体幹に力がついてきて、やっとたてになっても頭を支えられるようになります。支える力が体幹についていないのにたてに抱くと、赤ちゃんは首がグラグラしないように、表面の浅い筋肉を使ってなんとか姿勢を保とうとするので、ずっと緊張している状態になっているんです。長時間そうしていると、首・背中側の筋肉の緊張が強い状態になります。たてに抱くと泣きやみはしますが、決してリラックスしているとはいえない状態になっています。

首がすわるまでは横抱きを基本にし、赤ちゃんの未熟な筋肉に負担がかからない心地よい姿勢が保てるようにしましょう。たてで抱く場合には、必ず後頭部から首までを手で広く支え胸の高い位置で抱き、ひざはおしりよりも高い位置にくるように配慮します。サポート機能付きの抱っこ紐を使用する場合も同様に支え、使用時間は30 分程度まで、長くても2 時間以内の使用にとどめましょう。

たて抱き

パパと子どものイラスト

後頭部から首までを支え、頭が後ろに倒れないように

Q 抱き上げるときに注意することはありますか?

A.赤ちゃんの頭の重さは、体重に対して3 分の1あるといわれています。体重60 キログラムの大人だと20 キログラムに匹敵するので、赤ちゃんに負担がかかっているというのがわかりますよね。

抱き上げるときは、頭の重みを感じさせないよう頭の後ろに手をあてて抱きあげてください。体幹の力が育つまでは、頭の重みが負担にならないよう、赤ちゃんの背中を天井に向けてから抱き上げる、ローリング抱きがおすすめです。パパママの腱鞘炎や、腰痛の予防にもなります。(写真参照)

よくない例:脇を持って抱き上げると頭の重みがツライ

抱き上げ方写真

 

おすすめのローリング抱きの方法

赤ちゃんの抱き上げ方写真

1.赤ちゃんに寝返りをさせてから抱き上げるイメージで

赤ちゃんの抱き上げ方写真

2.まずはゆっくり横向きになってもらう

赤ちゃんの抱き上げ方写真

3.赤ちゃんの背中が天井に向くようにローリング

赤ちゃんの抱き上げ方写真

4.しっかり支えてあげて

赤ちゃんの抱き上げ方写真

5.おしりをすくい上げるように支えて

赤ちゃんの抱き上げ方写真

6.一度前向き抱っこの姿勢になってから、横抱きに抱きなおす。

 

Q モロー反射とはなんでしょうか?

A.モロー反射とは、赤ちゃんが外部の刺激に驚いて、両腕を広げ、続いてしがみつくような動作を行うもので、乳児に見られる自然な反応です。

個人差はありますが、生後4か月くらいで落ち着いてきます。安心安全な環境のもとに、体に適切な刺激を与えることで感覚が育っていくと、この反射が消えていくと言われるので、心地よい触れ方とお世話の仕方で、優しく接することが大事です。触れる部位によっては、触ると反射でのけぞって、嫌がっているように感じることがあるかもしれませんが、どの子にも、皮膚への優しいタッチは必要です。

将来、視野を広く持ち、落ち着いて座っていることができ、身体を器用に扱えるようになるためにも、乳幼児期に身体感覚を育ててあげることはとても大切です。その子が喜ぶ触れ方で触ってあげたり、ただ手をあてて、温めてあげるというのでも良いと思います。その子に必要な加減で触れてあげるのが大事です。

赤ちゃんのイラスト

Q たかいたかいはOK?

A.パパはかわいい我が子に「たかいたかい」をしたいと思いますが、「揺さぶられっ子症候群」の心配がありますので、生後6か月くらいまでのお子さんには絶対にしないでください。

ハイハイやおすわりが上手になったお子さんに「たかいたかい」をする場合、大人の顔より高く持ち上げたり、揺さぶったりはせず、自分の目線くらいで赤ちゃんの表情をよく見ながら遊んであげましょう。

また、赤ちゃんの脇の下を持って抱きあげている方をときどき見かけますが、写真A のように胸郭を包むように支えて抱いてあげましょう。

赤ちゃんの写真

よくない例:首が埋もれてしまう抱き方はNG

 

赤ちゃんの写真

写真A 体幹が育っていると頭を支えることができ、笑顔が見られます

プロフィール写真

お話を伺った方

矢野根 絵里子 さん

助産師・看護師。NPO 札幌feeling 子育ての会代表。公益社団法人日本助産師会会員、一般社団法人北海道助産師会
会員、ベビーマッサージ講師、自閉症児のためのタッチセラピスト、産後ケア実務助産師・妊産婦体操実践指導員、分子整合栄養アドバイザー。

この記事に関するお問い合わせ先

札幌市子ども未来局子育て支援部子育て支援推進担当課子育て支援企画係
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更新日:2021年03月03日